さらば、ガク@野田知佑 [写真]
作家でカヌーイストの野田知佑氏とともに日本は疎か世界を旅したカヌー犬ガクの様子が収められた写真集。犬と人間のうらやましいほどに良い関係が写真と文章で綴られています。
単なる飼い主と飼い犬という関係を超えた、お互いの存在を認め合った仲というか、共に大自然に立ち向かっていく戦友であるかのような感じを受けます。
そのあたりは、これらの写真に写っているガクの表情からも窺い知ることができます。本当にとても良い表情をしています。時に訳知り顔で、時に何かを感じ取っているかのような表情。小さい頃から自然の中で育てられたせいか、飼い犬ですが野生の本性を失っていないような、そんな眼光の鋭さも時折見せています。
野田氏は犬をつないで飼うことに反対のようです。「犬を鎖につなぐと彼等はとたんに人生に対する興味をなくして、詰まらなそうな顔をする。」と。日本は彼らにとって棲みにくいところなのかも知れません。
基本的にガクはつながれずにいたようです。だからこそ、ガクの自由奔放さが際立っているのでしょう。
故立松和平氏も椎名誠氏も口をそろえて言うように、ガクは幸せな犬だったのだろうと思います。何しろいろんなところを旅して、そこで出会った人々に愛されたのですから。
そのガクもいまや他界しており、野田氏はその亡骸を毛皮にしてちゃんちゃんこを作り、身につけているとのこと。そういうとかなりの人が抵抗を覚えるでしょうし、私も正直そこまではと引き気味になってしまいました。
でも、飼い犬に対してそこまで深い愛情を示す人を私は知りません。犬を飼うということはそういうことだ、と言い切る野田氏の姿勢はすがすがしくさえ思えました。
タグ:犬
2011-01-03 09:51
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