仙台ぐらし [エッセイ]
初伊坂作品がこのエッセイ集となった。
本書前半は、「○○が多すぎる」というタイトルでつなげたエッセイ。北朝鮮のミサイル発射に怯え、本物のお化けや怪人が混じっているのではと、未だにお化け屋敷や戦隊物ショーを苦手とする著者は、かなりの心配性で、それだけでユニークな人物像が浮かんできました。そこには大好きな北杜夫のような気質も感じられ、親しみを覚えた。伊坂作品は未読だが、おそらくそのような気質が生んだ作品もあるのではないだろうか。
後半は、東日本大震災発災後の心情を綴ったエッセイや、被災地のボランティアをモデルとした短編作品が収録されている。今にして思うと、37年周期で発生してきた宮城県沖地震が、2015年くらいに起こるのではないかという著者の危惧が奇しくも的中してしまったわけで、心配性な著者のことを面白がるだけでは済まされないエッセイとなった。
杞憂を笑う者は天災に泣くということか。
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