通い猫アルフィーの奇跡
飼い主の死とともに、これまでのような安穏とした生活を送れなくなると感じたアルフィーは、自由を求めて家を出て、野良猫となる道を選ぶ。でも、それまでの安全で快適な飼い猫の座とは異なり、厳しい生存競争に晒される現実に疲弊し、孤独に耐えきれず、「家族がほしい。愛情と安心感がほしい」というアルフィーの願いは悲痛な叫びにも似ている。
そこで、彼は、二度とひとりぼっちになるという憂き目に遭わないように、いくつかの家を行き来する通い猫となる決意をする。通う家庭は4軒。それぞれに何かしらの問題を抱えていると感じた彼が、猫なりにその解決を図り、新しい家族を作ろうともがく姿が涙ぐましいけれども、猫ゆえに人間と充分なコミュニケーションが取れず、そのジレンマにやきもきもする。
猫目線で見ると、人間って、かくも可笑しくも愚かしく、理解不能で厄介な存在なのであろう。猫の性格からして、さぞうんざりしているのではないだろうか。アルフィーが時にすねて、プイッと出ていきたくなる気持ちもわかる!
家族を守るために彼が最終的に選んだ行動には驚いたが、その健気な、そして固い決意に基づいた行動が引き起こす結末はまさに奇跡。
猫は、その行動から人生を達観し、醒めた目で世の中を見ている存在のように感じていたが、実際にこのように人間をよく観察し、このように感じているとしたら、猫を見る目が変わりそうである。そして、意外に熱血漢なのかも。
獲ってきたネズミや小鳥の死骸をプレゼントと称して玄関先に置く愛情表現は勘弁願いたいものだが(笑)
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