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HELLO WORLD [SF]

一般的にSFにおいては、時間旅行により過去の自分と関わりを持つことは、タイムパラドックスを引き起こしかねないため御法度とされているが、本作はある仕掛け、あるシチュエーションによりそれを回避し、あまつさえ、積極的に過去を改変しようとする。
未来から来た自分(ナオミ)が過去の自分(直実)に恋愛の手ほどきをするなどという何だかラブコメ的展開は、ナオミの真の目的が明らかになったところで急転直下、世界崩壊の危機へと転じる。
可能な限り冒険を避けてきたという主人公の直実が、彼女である瑠璃のために危険へと身を投ずる展開は、映像にすると手に汗握るものとなっているのだろうことは想像に難くなく、映画の公開に期待感が増す。
そして、「この物語( セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る」というアニメ映画のCMのとおり、ここまで語られてきた物語がラストでひっくり返る段になって、なるほど、そういうことだったのか!と素直に驚く。
その小気味よさは野﨑まどの面目躍如といったところだろう。
HELLO WORLD (集英社文庫)

HELLO WORLD (集英社文庫)

  • 作者: 野崎 まど
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: 文庫

タグ:アニメ
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海外SFハンドブック [SF]

SFが好きだなどと公言しながらも、掲載されている作品群をながめると、読んでいない作品が多くて凹んでしまった。

でも、未読の作品が作品が多いということは、まだまだ読書する楽しみが残っているとポジティブにとらえることもできるかな(笑)

特に『ミニタリーSF略史』の章が興味深かった。ミニタリーSFの走りであるハイラインの『宇宙の戦士』などが陸戦主体の物語であるのに対して、90年代に入ると、宇宙艦隊ものが主流になり、21世紀に入ると、同時多発テロや中東での戦争を背景に、再び陸戦ものが増えてきたように、SFはその時々の時代背景反映して変遷してきているのだと気付かされる。

私にとっては、渺茫たるSFの海へと漕ぎ出す際の羅針盤の役目を担う座右の書となってくれそうである。

因みに、この本で紹介されていたジョージ・アレック・エフィンジャー著『重力の衰えるとき』が面白そうだったので、積読本に追加した。

海外SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF)

海外SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: 早川書房編集部
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: 文庫

 


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久しぶりに書く感想 [SF]

 久しぶりに読書メーターに感想をアップした。本はもう1か月ほど前に読み終えた『富士学校まめたん研究分室』。

 わずか二百数十字の感想を書くだけで、ずいぶん時間を要してしまって疲れてしまいました(笑)

 己の文才のなさに改めて気づかされた次第です(泣)。

 

富士学校まめたん研究分室[芝村裕吏]

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エンダーのゲーム [SF]

 書店の片隅にこの『エンダーのゲーム 入門ガイド』がひっそりと積まれていたので、いただいてきました。(笑)

IMG_3277.JPG

 ギャビン・フッド監督によって映画化されて、新春早々の1月18日から劇場公開されるこの作品。

 個人的には自分が読んだSFの中でも一二を争うほど好きな作品なので、公開がとても楽しみ。

 最近ではTVのスポットで予告編が放送されるようになり、それを観る限りではスピード感あふれる仕上がりとなっているようなので、否が応でも期待が膨らみます!


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ほしのこえ The voices of a distant star [SF]

ほしのこえ The voices of a distant star (MF文庫ダ・ヴィンチ)

ほしのこえ The voices of a distant star (MF文庫ダ・ヴィンチ)

  • 作者: 新海 誠
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2009/12/23
  • メディア: 文庫
 
 
 
 
 
 
 かつて新海誠さんのアニメ作品を観て感動し、次に佐原ミズさんのコミック版を読んでアニメとはちょっと異なるエンディングにまた感動し、そして最後にこの大場惑さんの小説版たどり着いたという一人メディアミックス。

 「わたしはね 懐かしいものがたくさんあるんだ」 アニメの映像を思い出しながら読み始めました。

 ミカコが突然「タルシアン」と呼ばれる異生命体の探査隊にスカウトされたため、離ればなれになったミカコとノボル。

 ミカコはノボルに対して当初から恋心を抱いていたようですが、どうもノボルはそうでもなかった様子。「ぼくらって、どういう関係なんだろう」などとつぶやいているぐらいですから。

 ただ、仲の良い友達が突然に目の前からいなくなり、戸惑っているという感じでした。でも、「少なくともいま長峰は、ぼくを必要としている」ということだけは、しっかり認識しています。

 それからは携帯電話が二人をつなぐたった一本の糸となります。

 月、火星、そして太陽系外と、どんどん地球を離れていくミカコは「これ以上どこともしれない遠い宇宙へなんか、行きたくない。」と胸の内をつぶやきます。

 ミカコが通っていた中学校の制服姿で有人探査機トレーサーに搭乗していることで、時間的には彼女の気持ちが中学時代で止まっており、空間的にはノボルのいる地球に固定されている状態を見事に表現していると感じました。

 「わたしたちは、まるで宇宙と地上に引き裂かれた恋人みたい。」というミカコの言葉にこの物語のすべてが凝縮されています。そう、これは宇宙規模の超長距離恋愛の物語。

 「生きなきゃ。思いが時間と空間を超えて、ノボルくんに届くまで」という一心でミカコは戦い続けます。そして、・・・。

 イラストが竹岡美穂さんだということは知らずに購入しました。もっとイラストが入っているのかと思いましたが、その点は残念。

 どんどん遠のく二人の距離。それと反比例して募る思い。タイムラグがありなかなか届かない返事。不安になり焦る気持ちという状況を、携帯電話というありふれた小道具をこのような宇宙を舞台にした物語で効果的に使うアイデアが今から見ても斬新で秀逸だったと思います。 

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宇宙英雄ローダン・シリーズの発売日 [SF]

ハルトの巨人たち (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-412 宇宙英雄ローダン・シリーズ 412) (ハヤカワ文庫SF)

ハルトの巨人たち (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-412 宇宙英雄ローダン・シリーズ 412) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: クルト・マール
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/11/10
  • メディア: 文庫
 
 
 
 
 今日は宇宙英雄ローダン・シリーズの最新刊『の巨人たち』の発売日です。
 
 私の行きつけの地元の書店では、最近、発売日を数日過ぎるともうその新刊が店頭から消えていることが多いのです。
 
 ちょっと前までは数冊は暫く残っていたように思うのですが、今日も1冊しか残っていませんでした。
危ない危ない。

 栗本薫さんの『グイン・サーガ・シリーズ』のように、ブームが訪れているという話も聞こえてこないので不思議に思っています。

 このシリーズを読む人が増えたのだとしたらうれしいのですが、何しろ412巻まで巻数を積み重ねてきたシリーズものですから、今から読み始めようと思っても敷居が高いかな。 

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プロバビリティ・サン@ナンシー・クレス [SF]

『プロバビリティ・ムーン』にはじまる3部作の2作目。

「世界(ワールド)」と呼ばれる惑星の山中で発見された謎の人工物が、地球人の敵である異星種族「フォーラー」との戦いにおいて、戦局を大きく左右するような防御兵器でもあり、攻撃兵器ともなりうるものであることが分かってきて、これを地球へと運ぶ作戦が発動された。

一方、世界(ワールド)人は、この人工物が地下に存在する環境下で進化してきたことから、永い間その影響を受けてきたことにより、ある種のテレパシー能力のようなものを身につけていた。これを彼らは「共有現実」と呼んでいる。

したがって、この人工物を地球人が宇宙空間に持ち出したことにより、世界(ワールド)人たちは「共有現実」を失うことになり、その社会に大きな混乱を引き起こすことになった。

世界(ワールド)人の起源とされる〈はじまりの花〉とは何か?、「フォーラー」は何故執拗に地球人に攻撃を仕掛けてくるのか等々、いくつもの謎をはらんだまま、物語は最終巻である『プロバビリティ・スペース』へと続く。

「確率子」とか「カラビ=ヤウ空間」の説明が出てくる最後のあたりは、ハードSFという感じでなかなかすんなりとは理解できなかった。

今回の物語の中心人物の一人である物理学者のトーマス・カペロは、すぐに激昂する性格で、どうも好きになれなかったが、妻のかたきとして激しい憎悪の感情を抱いている「フォーラー」の捕虜との間で、筆談によりコミュニケーションを図り、人工物の謎を解明していくあたりは面白かった。


プロバビリティ・サン (ハヤカワ文庫SF)

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独裁者への道@クナイフェル&マール [SF]

ロワ・ダントン率いる善良隣人機構(OGN)とトレヴォル・カサルが国家主席となったアフィリアーとの抗争の間に、どうやら第三勢力が新たに加わってきたようだ。その実態は未だわからず。

しかしながら、この巻で注目すべきは、その内容ではなく、巻末に掲載された「ローダンを愛するみなさんへ」と題した依光隆氏の寄稿である。

ここしばらく、依光氏の挿画の新作を見ることができず、体調でも崩されているのかなと思っていたが、やはりそのようで、再び絵筆を取ることを断念されたという。

依光氏の挿画により、文章を読むだけではなかなか想像できなかった異星人たちの姿を、明確にイメージすることができて、その類い希なる筆致により、ローダンシリーズを読み進める上で、たいへんな助けとなり、また、その表紙を飾るその絵によってとっても興味をかき立てられた。

これで依光氏が描く挿画ともお別れかと思うと、一抹の寂しさを禁じ得ないが、「このたび、ついにローダンの宇宙船から降りることになりました」という氏の言葉を胸におさめて、38年間、本当にありがとうございましたという感謝の言葉を贈りたい。

独裁者への道 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-367 宇宙英雄ローダン・シリーズ 367) (ハヤカワ文庫SF)

タグ:依光隆
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ノーストリリア@コードウェイナー・スミス [SF]

このブログを立ち上げたのはいいけれど、ほとんど更新しないままになっていたので、今年は心を入れ替えて、もう少しまめに更新しようと思っています。

さて、このコードウェイナー・スミスによる「人類補完機構シリーズ」が、ヱヴァンゲリオンの「人類補完計画」の元ネタになっているという話は聞いていたので、気にはなっていたのだけれど、ようやく手にする機会に恵まれた。(といっても何のことはない、書店で手には取ってみるけれど、そのちょっとした厚味(ページ数)になかなか手を出しづらかっただけだけれど・・・)

この手のSFを読み始めるときは、まず、その世界を構成する基本情報を把握しなければならないのだが、物語の発端の惑星ノーストリリア(これはどうやら『オールド・ノース・オーストラリア』の略称らしい)では、いや、この時代の人類は、『キトる』と『サベる』という能力(これは「聞きとる」と「しゃべる」という単語がなまったもの)、つまりはテレパシーの能力を持つということがわかった。しかしながら、本作の主人公の少年ロッド・マクバンは、この能力がうまく使えないことで悩みを抱えている。

惑星ノーストリリアでは、巨大羊(その体重が100トンにも達するというから、羊とは別の生き物ではないかと思ったのだが、ノーストリリアに連れてこられた羊たちは、病気にかかる結果、そのように巨大になるらしい。そして、その巨大羊からは、人間の寿命を無制限に延長できるサンタクララ薬、別名『ストルーン』が採れて、それがノーストリリアに巨万の富をもたらしている。

ロッド・マクバンが地球を買い取ったことから物語は急展開する。ロッドが地球に降り立ち、猫人や鳥人と行動を共にし、命を狙われるという大冒険を経験することになる。

しかしながら、最後まで読み終えて、結局、ロッド・マクバンは地球まで何をしに行ったのか?、何がしたかったのか?ということが良く分からなかったというのが私の感想になってしまう。いつかもう一度読み返してみて、理解に努めることとしよう。

もっとも、「人類補完機構シリーズ」と銘打たれているのだから、他の短編を読めば、もっとこの作品の世界は理解できるのかもしれないので、そちらに挑戦してみようか。



ノーストリリア (ハヤカワ文庫 SF ス 4-5) (ハヤカワ文庫SF)


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ゼロ守護者 [SF]

宇宙英雄ローダン・シリーズは、巻を重ねること365。本作「ゼロ守護者」が最新巻である。

そもそもこのシリーズ、学生時代に友人に勧められて読み始めたのであるが、以来20年以上にわたって読み続けていることになる。

ほぼ毎月1巻づつ刊行されており、この物語を読み続けることは私のライフワークだと思ってはいるが、何しろ本国ドイツでは、まだこのシリーズの刊行が続いているものだから、物語ははるか宇宙のかなたまで進んでいるはずであるが、翻訳の方が追いつかない。

一生かかっても読み終わらないだろうなというあきらめ感も抱いていたところ、毎巻、最後に載っている訳者による小文「あとがきにかえて」の中で、2010年1月から月2回、上旬と下旬の刊行になるといううれしいアナウンスがなされていた。これで一生のうちに読み終えることができる、かも?

それはさて置き、本巻の内容であるが、ツグマーコン人のゼロ守護者にとらわれの身となっていた闇のスペシャリスト12人の一人プィを助け出すために、同じ闇のスペシャリストのオルウらが救出作戦を敢行。どうにか無事にプィを救出することができたというものなのだが、それよりも、本巻の物語の最後の最後に、ハルト人のイホ・トロトが子どもを宿しているという驚愕の事実が明るみになった。

そういえば、確かハルト人は雌雄同体だという設定だったように記憶しているから、さもありなん、というところなのだが、これには心底驚いた。近々ジュニア誕生!ということになるのだろうか?これまた楽しみである。


ゼロ守護者 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-365 宇宙英雄ローダン・シリーズ 365) (ハヤカワ文庫SF)

ゼロ守護者 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-365 宇宙英雄ローダン・シリーズ 365) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: H・G・エーヴェルス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/10/10
  • メディア: 文庫



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